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病気・症例紹介 ―犬の急性膵炎(きゅうせいすいえん)―
本記事では、そんな膵臓に起こる『急性膵炎』についてご紹介します。
―膵炎の原因―
急性膵炎は、膵臓から分泌される消化酵素が突然活性化されることで、膵臓自身が消化されて炎症が起こる病気です。
そのため症状も突然現れ、短期間で重症化する可能性があります。
原因は不明ですが、以下の要因がリスクになると考えられています。
・肥満
・高脂血症
・脂肪分の多い食餌、おやつを与えている
・特定の犬種(ヨークシャー・テリア、ミニチュアシュナウザー、コッカースパニエルなど)
・内分泌疾患(糖尿病、クッシング、甲状腺機能低下症など)
―急性膵炎の症状―
・嘔吐
・下痢、血便
・腹痛
・食欲不振
・よだれ
・震え
・元気消失 など
強い腹痛のサインとして、胸を床につけお尻を持ち上げる【祈りのポーズ】がみられることもあります。
また急性膵炎では合併症がよく認められます。
重症例では全身の血管内で微小な血栓が形成され(播種性血管内凝固といいます)、それが血管内で詰まることで多臓器不全が引き起こされ、その結果亡くなってしまうこともあります。
―急性膵炎の検査―
当院では超音波検査、血液検査、レントゲン検査の所見から急性膵炎の診断を行います。
膵炎で見られる症状は、他の疾患でも認められることが多いため、その他の疾患や膵炎発症のリスクとなり得る要因の有無を確認します。
▲急性膵炎時の膵臓(白矢印)。膵臓は腫脹し内部に出血と壊死を認める。
―急性膵炎の治療―
点滴により循環血液量を維持することで膵臓への血流を保つ事が最も重要であり、多くの場合は入院による集中的な治療が必要となります。同時に吐き気を抑える制吐剤、下痢止め、痛みを抑える鎮痛剤により対症療法を行ったり、状況により抗炎症薬(ブレンダ®︎など)の使用を検討します。
―急性膵炎の予後、再発予防―
適切に治療すれば完治する場合が多いですが、病気の発見が遅れたり、重度の炎症により合併症が生じている場合は亡くなってしまう可能性もあるため、早期発見、早期治療が重要となります。
一度膵炎を発症した症例は、再発予防として食事療法も重要であり、低脂肪のフードやおやつを与えていただくことを推奨します。
―最後に―
膵炎は珍しい病気ではありません。悪化すると命に関わる病気なので、早期発見が重要となります。
普段から人の食べ物や、脂肪分の多いおやつを与えていませんか?
急性膵炎を予防するためには、まず食生活から見直しましょう。
愛犬が肥満の場合は、適正体重に戻すためにフードの種類、給餌量を見直す必要もあります。
当院では適切な給与量の提案、その子にあったフードのサンプルもご案内していますので、気になった方は是非一度ご相談ください。
5月の休診日・院長不在日について
5月の休診日・院長不在日についてお知らせします。
- 休診日:毎週木曜日
- 院長不在日:5月11日(土)午後のみ、5月15日(水)、5月18日(土)午後のみ
ー予防専用診察時間についてー
- 診察時間:水曜日(祝日を除く)15:00-16:00
- 診察内容:予防薬処方、狂犬病ワクチン、混合ワクチン、フィラリア検査、健康診断に限ります。
- 予約方法:電話での時間指定予約のみ
通常の診察時間でも予防関連の診察をしておりますが、その場合はLINEでの順番予約をお願い致します。
予防専用診察時間では待ち時間を少なくご案内できますのでぜひご利用ください。
上記の診察内容に合わせて、他の診察や相談事がある場合は、通常の診察時間内(9:00-12:00、16:00-18:30)でLINEにて順番予約をお願い致します。
ご不明点がある場合は、電話または受付にてお尋ねください。