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病気・症例紹介

CASE

2024.10.17
チェリーアイ

犬や猫の目頭が赤く腫れている、なんてことはありませんか?

もしかすると「チェリーアイ」かもしれません。

チェリーアイとは?

まず初めに、目には第三眼瞼(だいさんがんけん)(=瞬膜(しゅんまく)とも言う)という膜が存在しています。

猫の正常な目では上の瞼を軽く抑えると瞬膜が出てきます。

瞬膜 例.jpeg

*第三眼瞼(=瞬膜)とは上の写真の赤丸の部分を指します。

 

チェリーアイとは、第三眼瞼の裏表がひっくり返り、第三眼瞼に存在する涙液を産生する腺(=第三眼瞼腺)が眼球の表面に飛び出している状態を指します。この状態を指してそのまま「第三眼瞼腺脱出」と表すこともあります。

飛び出した第三眼瞼腺がピンク~赤色に腫れ、サクランボ(=チェリー)のように見えるため、「チェリーアイ」と呼ばれています。

チェリーアイ 猫.JPG

*チェリーアイ(猫:右目)

 

片眼・両眼のいずれも起こる可能性があり、若齢動物で多いといわれています。

チェリーアイになりやすい犬種は、イングリッシュ・ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、コッカー・スパニエル、シー・ズー、ペキニーズ、ビーグル、チワワなどで、猫は犬と比べると稀ですがペルシャやバーミーズなどで見られることが多いです。

チェリーアイの症状

飛び出した第三眼瞼腺が炎症を起こすことで結膜炎(白目の部分が充血する)を起こしたり、目やにが出たり、涙が多く出たりします。

また、第三眼瞼腺は涙も産生しているのですが、チェリーアイによって涙の産生力が低下してドライアイになったり、それによって角膜炎が起こったりもします。

チェリーアイ 犬.JPG

*チェリーアイ(犬:右目)

 

チェリーアイの治療方法

チェリーアイは自然に良くなることはないので、治療が必要です。

内科的治療

軽度の場合や、チェリーアイになってすぐであれば、ピンセットなどで瞬膜をもとに戻した後に炎症を抑える目薬を使用することで改善する可能性があります。ただし、内科的治療のみの場合は再発する場合が多いので注意しましょう。

再発を繰り返すのであれば外科的治療が必要です。

外科的治療

チェリーアイが長期間続いている場合や、内科的治療をしても繰り返し再発している場合は手術適応になります。

瞬膜を一部切開してポケットを作り、飛び出している第三眼瞼腺をそのポケットの中に入れる「埋没法」が現在主流の方法です。他にもいくつか手術の方法はありますが、いずれも再発や術後の合併症が起こる可能性がありますので、獣医師からよく説明を聞くようにしましょう。

まとめ

チェリーアイに限らず、目の異常はその違和感から犬や猫が自分で目を掻いたりこすりつけたりすることにより、症状が悪化することが多々あります。

異常に気付いたときは、できるだけ早く獣医師に相談するようにしましょう。